アニメーション神戸賞

The13th. Animation Kobe

第13回アニメーション神戸賞
受賞者・受賞作品

◇個人賞

磯 光雄(監督)

◇特別賞

辻 真先(作家・脚本家)

◇作品賞・劇場部門

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

◇作品賞・テレビ部門

コードギアス 反逆のルルーシュ R2

◇作品賞・ネットワーク部門

初音ミク

◇主題歌賞

トライアングラー(歌:坂本真綾)

審査委員会(敬称略・順不同)

【委員長】

藤岡 功 ((株)エムディエヌコーポレーション 代表取締役社長)

【委 員】

大野 修一 ((株)徳間書店 アニメージュ 統括プロデューサー)
中路 靖 ((株)学習研究社 雑誌第二出版事業部 アニメディア編集部 編集長)
福岡 俊弘 ((株)アスキー・メディアワークス 週刊アスキー 総編集長)
矢野 健二 ((株)角川書店 メディア部 副部長 兼 ニュータイプグループ長
デジタルコンテンツグループ長 コンプティークグループ長)
竹田 尚弘 (神戸市 企画調整局 情報化推進部長)

第13回アニメーション神戸審査委員会は、上記審査委員会メンバーの出席のもと、平成20年7月24日(木)14:00から、東京都内で実施し、受賞者及び受賞作品を選出しました。

◆審査委員会の総評◆

審査委員長
(株)エムディエヌコーポレーション 代表取締役社長/藤岡 功

 熱のこもった審査委員会でした。動員数や売上なのか、話題性なのか、あるいは秀作主義なのか…。日本のアニメーションのあり方について語られる場面もありました。授賞のポイントは各賞ごとにありますが、商業的成果だけを基準としない「アニメーション神戸賞」らしいラインアップに辿り着いたと言えるでしょう。
 第1回アニメーション神戸における受賞作『新世紀エヴァンゲリオン』が『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』として今一度作品賞に選ばれたのも、当審査委員会にとって感慨深い出来事です。なお、作品賞におけるパッケージ部門とテレビ・劇場部門の対象作品の境界についても議論され、今回は作品賞・パッケージ部門をなくしました。そのほかの問題についても今後の課題として議論されていくことになるでしょう。いずれにせよ、「アニメーション神戸賞」の原点を見直す審査委員会を通して選考された、自信の受賞作品・受賞者揃いであることは言うまでもありません。

アニメーション神戸賞・個人賞
「磯 光雄」(監督)

◆プロフィール◆

 1966年、愛知県に生まれる。スタジオ座円洞を経て、現在フリー。アニメーターとして数多くの作品に参加し、その徹底的にこだわった作画はアニメファンや業界から高い支持を受けている。
「新世紀エヴァンゲリオン」では、原画のみならず設定や脚本を担当。「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」では銃器デザイン、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」ではデジタルワークスなど様々な役職を手がけ、「ラーゼフォン」では第15楽章(子供たちの夜-Child Hood's End-)の脚本・演出・絵コンテ・撮影などをこなし、世界を構築できるクリエイターとして注目を浴びる。実写作品「KILL BILL」のアニメーション・パートでも作画に参加。

◆授賞理由◆

審査委員
「週刊アスキー」総編集長/福岡 俊弘

 こんな世界観があったのか、こんな世界を映像化した人がいるのか……。昨年の5月から約半年間に渡ってNHK教育テレビで放映されたアニメーション『電脳コイル』を、初めて観たときの衝撃は忘れようもありません。そこには“SF”が持つ心の中心を抉るような高揚感と、アニメーションが放つ突き抜けるほどの爽快さがありました。そして、この作品の原作・脚本・監督のすべてをこなしたのが磯光雄氏でした。
 『電脳コイル』以前の磯氏は、アニメーターとして多くのテレビアニメやOVAの原画を担当。『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『新世紀エヴァンゲリオン』など、いくつもの優れたアニメーションに発揮されたその天才的な仕事ぶりは業界の語り草となっています。とりわけ、「磯爆発」と呼ばれる爆発のエフェクトや、3コマの動きをすべて原画で表現する「フル3コマ」作画法は、その後のアニメーション表現に大きな影響をもたらしました。
 その天才が満を持して世に送り出したのが『電脳コイル』でした。これほど次作が待ち遠しい監督を他に知りません。

アニメーション神戸賞・特別賞
「辻 真先」(作家・脚本家)

◆プロフィール◆

 1932 年、名古屋に生まれる。名古屋大学文学部卒業後、放映開始直後のNHKテレビに入り、制作演出を担当する。この時期、手がけた作品は『バス通り裏』『お笑い三人組』など。
  1962 年にNHKを退職、翌年からアニメーションの脚本を大量に執筆。この時期の代表作は『タイガーマスク』『スーパージェッター』『バビル二世』『魔女っ子メグちゃん』『勇者ライディーン』『キャプテンフューチャー』『一休さん』など。
  1982 年『アリスの国の殺人』により、日本推理作家協会賞長編部門を受賞して、ミステリを多作するようになった。作品は『仮題・中学殺人事件』などの中高校生向きから『迷犬ルパン』などのユーモアミステリ、『日本海・豪雪列車殺人号』などのトラベルミステリ、『あじあ号・吼えろ!』などの鉄道冒険ものなど多岐にわたる。
  近作に『完全恋愛』(牧 薩次名義)、『ぼくたちのアニメ史』がある。長谷川伸賞、中日文化賞、文化庁メディア芸術祭功労賞ほかを受賞。

◆授賞理由◆

審査委員
「アニメージュ」統括プロデューサー/大野 修一

 テレビアニメの黎明期、さまざまな業種からの多くの人材が、この新しいジャンルに集いました。そのうちのお一人が、NHKで演出家として活躍されていた辻真先氏です。『鉄腕アトム』から始まり『エイトマン』『ジャングル大帝』『サイボーグ009』『デビルマン』『巨人の星』『アタック№1』『魔法使いサリー』『ゲゲゲの鬼太郎』『キューティーハニー』『サザエさん』『Dr.スランプ アラレちゃん』『超電磁ロボ コン・バトラーV』などなど、挙げていったらきりがないくらい多くの、そして様々なタイプの作品に脚本家として関わられてきました。全話のなかでも最も難しい第1話を担当することが多く、それだけ信頼されていたということが分かります。
 近年では小説家として知られている辻氏ですが、本年、岩波ジュニア新書から上梓された『ぼくたちのアニメ史』には、いまだ変わらぬアニメへの愛情が綴られています。喜寿(数え年77歳)を迎えられながらも、新作アニメを見、様々なジャンルのマンガを読み、ライトノベルまでも追いかける辻氏の偏見のない若々しさは、まさに〈特別〉であると言えましょう。

アニメーション神戸賞・作品賞(劇場部門)
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」

◆作品概要◆

(C)カラー・GAINAX

 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、1995年にテレビシリーズとしてスタート、1997年には劇場映画化されたアニメーション作品『新世紀エヴァンゲリオン』を、新しい時代に向けて新たな表現手法で「REBUILD」した意欲作。『破』『急』『?』と全4部作(第3部と4部は同時上映)が予定される新シリーズのうち、序章的な位置づけに当たる。
 突如、世界を襲った未曾有の大災害「セカンドインパクト」から15年…。14歳の少年・碇シンジは父親から第3新東京市へ呼び出され、出迎えを待っていた。そのとき、山あいから巨大な生物が出現。その「使徒」と呼ばれる正体不明の存在は国連軍と激しい交戦を開始、シンジは爆風に巻き込まれてしまう。そんなシンジを救ったのは特務機関NERVの作戦部長・葛城ミサトだった。やがてシンジは父との再会を果たすが、極秘裏に開発された巨大な人型兵器<エヴァンゲリオン>を見せられ、使徒との戦いを強要される。

◆授賞理由◆

審査委員
「アニメディア」編集長/中路 靖

 いまやアニメファンだけでなく、広く一般の方にも浸透した「エヴァ」。アニメーション神戸では、第1回(平成8年)にテレビ番組の部、第2回(平成9年)に会場特別賞とインタラクティブ・ソフトの部を受賞しています。旧作もすばらしい出来でしたが、タイトルも新しくなった本作は現在の映像技術でさらにシャープでスタイリッシュに。シンジの葛藤もラストのレイの微笑みも、もちろん使徒とのバトルも、気持ちも新たに新作として本当に楽しめました。
 『新劇場版』としてはまだ1作目なので、もう賞を出してしまうのは早急かもしれません。いろいろ議論はされましたが、作品力で審査委員満場一致の決定となりました。いち視聴者として、このクオリティで次回作も上映してほしい、これを越えるアニメーションがアニメ界から出てきて欲しいという贅沢な願いを込めて、この賞を贈りたいと思います。アニメ界はこの現状から「逃げちゃダメだ」!?
アニメファンは待ってまーす!

アニメーション神戸賞・作品賞(テレビ部門)
「コードギアス 反逆のルルーシュ R2」

◆作品概要◆

(C)SUNRISE/PROJECT GEASS・MBS
Character Design (C)2006-2008 CLAMP

 神聖ブリタニア帝国の捨てられた皇子ルルーシュ・ランペルージは、謎の少女C.C.(シーツー)から他者に一度だけ命令を下せる絶対遵守の力「ギアス」を与えられる。
 彼はその力を使い、仮面の魔人「ゼロ」となり、植民地となった日本「エリア11」を解放すべく「黒の騎士団」を率いて超大国・ブリタニア帝国に戦いを挑む!
 多くの犠牲を出しながら、勝利を目前にしたルルーシュだったが、親友・枢木スザクの前にその野望を絶たれる。「ゼロ」は消え、日本解放の夢はついえた……。
 それから1年。戦場となったトウキョウ租界も復興し始めていた。ルルーシュ・ランペルージは平穏な日常の中でどこか冷めたものを感じていた。日常に刺激を求め、バベルタワーにあるカジノの賭けチェスに赴く。その上空を漂う飛行船、それこそ黒の騎士団残存部隊によるルルーシュ奪回作戦の始まりであった。1年の時を経て、再度ブリタニア帝国の前に颯爽と現れた「ゼロ」!!今、世界を覆すべく、新たな反逆が始まる!

◆授賞理由◆

審査委員
「Newtype」グループ長/矢野 健二

 異例の同作品2年連続で作品賞を受賞した「コードギアス」。前シリーズ以上に早いスピードと起伏のある衝撃的な展開、キャラクター達の発する言葉の力。それは、数多くあるテレビアニメ作品の中で群を抜いていました。「R2」に関しては、自分の起こした行動の結果、発した言葉に対する責任が前シリーズ以上に主人公ルルーシュを苦しめ、周囲のキャラクターたちに影響していきます。スケールの広がった世界観が、キャラクターたちの群像劇をより魅力的なものにしてくれました。
 視聴者たちが、本数の多さに見る作品を絞り込む中、この作品は必ず次週も見ようと思うのは、見させようとする作り手側のドラマ作り、エンターテインメントの追求が受け手側に伝わったからではないでしょうか。テレビの前のアニメファンに素晴らしい2年間を提供した作品だと思います。改めて、オリジナルの力というものを見せ付けられた作品だったと感じます。

アニメーション神戸賞・作品賞
(ネットワーク部門)
「初音ミク」

◆作品概要◆

(C)Crypton Future Media, Inc.
ALL RIGHTS RESERVED

 バーチャル・シンガー『初音ミク』は、ヤマハ株式会社にて研究開発された音声合成エンジンを元に、声優「藤田 咲」さんが演じるポップでキュートなキャラクター・ボイスを用い作り上げられた、ボーカル・アンドロイド=VOCALOID(ボーカロイド)です。
 本製品はパソコン上のソフトウェアであり、誰でも簡単な操作で『初音ミク』に歌を歌わせることが可能です。彼女の歌声は、80年代から最新までの多彩なアイドル・ポップスを中心に、さまざまなポップ・ソング~バラード・ソングを歌い上げ、またキュートな声によるアニメソングなども得意としています。まるで可愛らしいアイドル歌手を、自宅スタジオでプロデュースしているかのような感覚を味わえるでしょう。

◆授賞理由◆

審査委員長
(株)エムディエヌコーポレーション 代表取締役社長/藤岡 功

 『初音ミク』は、クリプトン・フューチャー・メディア社から発売された「歌声ソフトウェア・シンセサイザー」。昨年夏、ニコニコ動画への投稿をきっかけに一躍ネットアイドルとして大ブームになりました。アイドルに自作曲を歌わせる面白さに加え、想像力をかき立てる最低限のキャラ・プロフィール設定がウケにウケ、(紆余曲折はあったものの)楽曲動画を中心にイラストや漫画など、二次的創作物がネット上を賑わせました。
 音楽CDの発売、テレビ取材、マンガやアニメーションへのゲスト出演と話題には事欠きません。「現代用語の基礎知識」にもすでに掲載され、来年は初音ミクが主役のPSP用ゲームも発売予定です。新時代のユーザー参加型アイドルの活躍はどこまで拡大するのか?今後も目が離せません。

アニメーション神戸賞・主題歌賞
(ラジオ関西賞)
「トライアングラー」(歌:坂本真綾)

◆作品概要◆

 歌手・声優・女優として幅広く活動する坂本真綾。そんな彼女が歌う楽曲「トライアングラー」は『マクロスF(フロンティア)』のために実現した、“坂本真綾×菅野よう子×『マクロスF』”のスペシャル“トライアングル”コラボレーション。
  この曲名は、もちろん作品の世界観を投影し、主人公たちの三角関係を描いている。エキセントリックな歌詞世界と、超高音階で操られるメロディの融合は、流石の菅野よう子マジック。
  オリコン週間ランキングも3位を記録し、以後も好調に推移して、累計12 万枚以上のヒットを記録した。
   2008 年4 月23 日リリース
   坂本真綾『トライアングラー』C/W「ことみち」
   CD 発売元:flying DOG/JVC エンタテインメント

◆授賞理由◆

審査委員
ラジオ関西「青春ラジメニア」パーソナリティ/岩崎 和夫

 アニメーションのストーリーの中に歌が生かされている、と聞いてまず思い出すのはやはり『マクロス』!その世界観が、アニソンが何百曲と生まれている今の時代に、スケールアップして帰ってきました。主題歌の枠を超えて、その歌なしでは作品が成立しない。その上で、アニメーションの中と現実の歌姫がリンクする。オープニング以外にも、挿入歌やエンディング曲まで多数の投票があって、そういう展開を心底楽しんでいるファンの姿が見えるようです。
 アニソンの王道は変わらない、そう感じた投票結果でした。

第13回アニメーション神戸賞
対象・審査基準

アニメーション神戸賞 個人賞

 平成19年8月から平成20年7月の期間中に、日本でアニメーションの制作にかかわり、アニメーションの創作活動を豊かにし、斬新な表現や独創的な活動などを行うことによって今後の活躍が期待できる個人などに与えられる。

アニメーション神戸賞 特別賞

長期にわたる活動によって日本のアニメーション界に貢献した個人・団体などに与えられる。

アニメーション神戸賞 作品賞・劇場部門

 平成19年8月から平成20年7月の期間中に、日本の劇場において公開されたアニメーション作品、あるいはアニメーションを効果的に活用した作品を対象とする。セルアニメーション作品、3Dアニメーション作品、CGを効果的に使用した作品、それらを複合的に活用した作品など表現手法は限定しないが、エンターテインメント作品に限るものとする。高い作品性、企画の新規性、オリジナル性、デジタル技術の応用などの新しい試みによる市場創造性を有する作品を特に評価する。また、国内制作・海外制作を問わないが、国内の人材育成に寄与する作品をより高く評価する。

アニメーション神戸賞 作品賞・テレビ部門

 平成19年8月から平成20年7月の期間中に、日本の地上波、衛星放送、CATVなどのテレビ用に制作され、放送されたアニメーション作品、あるいはアニメーションを効果的に活用した作品で、再放送を除外した作品を対象とする。また、レギュラー番組・特別番組に加え、番組の一部として放送された作品も対象とする。セルアニメーション作品、3Dアニメーション作品、CGを効果的に使用した作品、それらを複合的に活用した作品など表現手法は限定しないが、エンターテインメント作品に限るものとする。高い作品性、企画の新規性、オリジナル性、デジタル技術の応用などの新しい試みによる市場創造性を有する作品を特に評価する。また、国内制作・海外制作を問わないが、国内の人材育成に寄与する作品をより高く評価する。

アニメーション神戸賞 作品賞・ネットワーク部門

 平成19年8月から平成20年7月の期間中に発表され、ネットワークメディアのインタラクティブ性を活かしたアニメーション作品、あるいはアニメーションを効果的に活用した作品を対象とする。パーソナルコンピュータ、ゲーム機、携帯端末などのプラットフォームは限定しない。また、2Dアニメーション作品、3Dアニメーション作品、CGIやJAVAなどのプログラムを効果的に使用した作品、それらを複合的に活用した作品など表現手法は限定しないが、エンターテインメント作品に限るものとする。高い作品性、企画の新規性、オリジナル性、デジタル技術の応用などの新しい試みによる市場創造性を有する作品を特に評価する。また、国内制作・海外制作を問わないが、国内の人材育成に寄与する作品をより高く評価する。

アニメーション神戸賞 主題歌賞(ラジオ関西賞)

 平成19年8月から平成20年7月の期間中に、公開されたすべてのアニメーション作品の主題歌を対象とする。テレビ番組中の一部のアニメーションで使用された曲やインストルメンタル曲、ゲームソフトの主題歌なども含む。一般投票を行い、得票数の多い5作品をノミネート作品とする。そのアニメーション作品のために作られ、作品のスピリットをストレートに歌い上げている曲をより高く評価する。