
『BLOOD THE LAST VAMPIRE』は、世紀末のアニメ界に産み落とされた突然変異的傑作でした。
アートとエンターテインメントを高いレベルで融合させた北久保氏の手腕は、実に稀有なものです。
フルデジタルという新境地にあえて挑む冒険精神、作品作りの上で一切の妥協を許さない完璧主義、困難に直面しても最後まで戦い抜く粘り腰――この作品で氏は、監督としての美点を数多く持ち合わせていることを充分に証明して見せました。
もちろん、緻密に計算されたスタッフワークや、音響に対する鋭敏な感覚など、従来高く評価されてきた北久保センスは遺憾なく発揮されています。
短いながらも、ここまで密度の濃い作品を作り上げた北久保監督の次回作に、期待しないわけにはいきません。
次回はぜひこのテンションでの長編を観たいという無茶な願いを込めつつ、制作に没頭するあまり体調を崩しがちな氏の健康を祈って、この賞を授与させていただきます。
アニメージュ編集長 松下俊也 氏